ブログ・コラム
2019.11.11
ちょうど四半世紀を振り返る
1994年11月11日
(株)アーティスティックスの前身、(有)アーティスティックスは誕生しました。インターネットなど、ほとんどなかった時代。経営者仲間もいませんでした。会社設立の本を買ってきて何週間も前から書類を準備して、その日、法務局の窓口に書類を出しました。法務局の窓口の雰囲気に、たじろいだことを今でも鮮明に覚えています。
設立当時は「子供部屋」と呼ばれる実家の一室が会社のすべてでした。ほどなくして高専時代の同級生がいっしょにやろうと合流。それを期に、沼津市の国1バイパス沿いにオフィスを借り、開発(長岡担当)とパソコン教室(同級生担当)を開設しました。会社設立よりもオフィスを借り仲間ができた時が、本当の意味での起業に近かったかもしれません。とても夢は広がっていました。毎日のように夜遅くまで2人で仕事していましたが、楽しくやりがいがありました。
規模拡大 その陰で・・・
開発業務のほうが利益が上がるため、2人でそちらに専念。パソコンスクールをやらなくなると広すぎるオフィス。さぁ、これからどうしようか。2人だけでやっていくのはつまらない。仲間は多いほうがいいと人を採用することにしました。何人かの中途社員に来てもらいましたがなかなか定着せず、それならいっそのことと新卒を採用することに。2人しかいないのに、新卒3名採用というかなり無茶をしました。
実務経験ゼロですべてを教えなければなりませんでしたが、3名とも一所懸命学んでくれました。
そのころになると、中途社員も少しずつ定着。新卒社員の面倒を見るという形で、いい具合に両方とも成長し、会社に定着してくれました。アーティスティックスの初期をこの3名の新卒と中途社員さんたちが支えてくれました。気をよくして翌年も2人の新卒社員を採用。人数は前の年よりも少なかったのですが、とても素晴らしい新卒学生が来てくれました。2人ともまったくタイプは違いましたが会社に入って大活躍。1人は今でも会社を支えてくれています。
今からは想像しにくいかもしれませんが、新卒を採用するのは中堅・大手ばかり。10名程度の会社では「私のような小さな会社では新卒なんてとても採用できない」と言ってるところが多かった時代。無理してでも新卒採用に踏み切ったのがとてもよかったです。新卒2年目の頃には、かなり会社に勢いがつきました。
2000年には株式会社化。前職の同僚も加わり3名が経営陣となり、さらに採用に力を入れていきました。途中、ITミニバブルの崩壊があり、社内開発から客先常駐中心に切り替わりましたが、順調に規模を拡大。24名までになりました。このまま規模を大きくしていけばいいという路線が見えてきたのと同時に、人材ビジネス的なものに少しずつ疑問を持ち始めていた、その時にそれは起きました。
リーマンショックで大きく会社のかじを切る
2008年9月、リーマンショック。これからどうなるんだろうか、漠然とした不安。先が見えませんでした。当社への影響は年が明けて1月。お客様先の業務縮小とプロジェクトの相次ぐ中止。社員24名のうち15名の業務が一気になくなりました。IT業界ができて数10年、初めての経験でした。このままでは会社がなくなる、アーティスティックスをどの方向に持っていくか、非常に悩みました。いくつかの選択肢があった中、アーティスティックスは「人材ビジネスからの脱却」に大きく舵を切りました。常駐・派遣業務は最小限にして、最終的にはなくす。その代わりに、ニーズを持ったお客様と直接つながることを目指しました。いくつかの業務を試し、ホームページ制作、クラウド型顧客管理システムSalesforceの構築支援の2つを新規事業として立ち上げました。しかし、それはいばらの道でした。
ニーズを持った顧客と直接商売をすること。つまり自社で営業をしていくということです。これは思いのほか大変でした。私を筆頭に社員全員が技術者。営業なんてしたことはありません。人材ビジネスの御用聞き営業とはまったく違います。業務がないから全員営業。技術者もお客様のところにって提案しました。それが嫌で会社を去った人もたくさんいました。とても苦しい時代でしたが、その結果、非常に強い会社に生まれ変わった、そう思います。人材ビジネスに漠然とした不安を持っていた私でしたが、リーマンショックのおかげで、そこから脱することができました。大変な経験で二度としたくありませんが、今思えば、私たちには必要なことだったのかもしれません。
ドットツリーそして新たなステージへ
2016年、伊豆市修善寺にできたドットツリー修善寺にサテライトオフィスを構えました。伊豆地域に根差してサービスを提供していくための拠点であり中小企業が手を組むビジネスチームでした。そこに新たな人材が加わり「みらいラボ@ドットツリー」という当社のラボ(研究開発部門)を作ることができました。新規事業のWeb、クラウド事業、そして長年培ってきた組込開発をベースとしたIoTやアプリ開発、これらを複合的につなげてお客様の課題を一緒になって解決するのが、みらいラボ@ドットツリーのコンセプトです。静岡県のITコーディネータに認定いただき、また三島市とはICT等を活用したまちづくりに関する協定を結んだりと、さまざまな相談に乗ることができるようになりました。
苦しい時代を一緒に乗りきってくれた社員さんたちは、目覚ましい成長を遂げました。このころに経営理念を「共に成長」に書き換えました。共に成長の共には、まず第1には社員さんたちです。この社員さんたちと共に仕事をしていきたい。少しずつでもいいからお互い成長していきたい。やっていく仕事もレベルアップしていきたい。そのためにも、お客さまの事業成長に貢献して一緒に成長していきたい。そして、この地域の成長の一翼を担える私たちでありたい。そんな思いで「共に成長」を新しい理念として掲げてきました。
四半世紀がたったからというわけではありませんが、これからのアーティスティックスは、がらりと変わっていきます。お客様の事業成長や地域の成長に今以上に貢献できるようになります。30周年に向けて、これからがまた楽しみです。